【歌舞伎】5月明治座 市川猿之助奮闘公演 不死鳥よ波濤を超えて【代役公演】
間に色々あるけどすっ飛ばして書きます、記憶が新しいうちに。
いや、チケット取った時にはまさかこの日がこんな事態になるとは夢にも思わなかった。
陰陽師を見たあと、隼人くんは何に出るのかな?あれ、5月も出るんだすごいな〜、え、歌舞伎レビュー…?何それ面白そう!とチケット買って、初日以降の評判も上々なのでウキウキしてました。
18日の昼休みにTwitterのトレンドが歌舞伎まみれだな〜と思って開いたら「え?」て感じで。おいおいおい、どうなってるんだよ、大丈夫か?と思いつつ、私、明後日のチケット持っとるがな…?となり、当日昼と翌日昼は中止、夜は隼人くん代役でやると聞いてこれは当面昼の部はやらないかな、払い戻しか…て覚悟してたんです。
どっちにしろそんな状況で観劇の気分じゃないかも…と思い始めてたのもあるし、多分20日は劇場へはいかないのかなーなんて思ってました。
で、翌日昼、まさかびっくり團子くんでやると発表が。
めっちゃ驚きましたし、悩んだのですが、やるなら行きましょうと意を決して明治座へ。劇場前のマスコミ、開演直前でも埋まっていない客席の様子を見るに、来る方もやはり難しいところがあるよね、と思いつつ、代役初日ですし、なんかすごい日のチケットを手にしてしまった…となぜかこっちまで緊張。
そしていざ、幕が開いて團子くんが出ると客席全体が万雷の拍手!
大向こうもたくさんかけてくれてました。共演の役者の皆様も、もちろん團子くんご本人も熱い舞台を見せてくれて、それに応えるようなお客さんの熱気と拍手。
幕が降りても鳴り止まない拍手。夜の部のためにセットを切り替えるので役者さんが出てくることはなかったんですが、それでも、とにかく拍手をしたいんだ!というお客さんたちの熱い気持ちでが止まらなかった感。
観劇歴は長いですが、その中でも忘れられない作品になりそうです。
で「不死鳥よ波濤を超えて」の演目ですが…平知盛が実は生き延びていて宋の国に行くよ!という、トンチキファンタジー(褒めてます)。
猿之助さんのお爺さんが宝塚の植田先生に頼んで作ってもらった歌舞伎レビュー。調べたらヅカの「この恋は雲の果てまで」と内容が被ってるらしいです、私はそっちは見てない。そういえば大空ゆうひの初舞台公演じゃないか?
レビューなので歌って踊る、ヅカである「和物レビュー」の物語がしっかりある感じ。
でも随所随所に「あ、これは知ってる!」と思うヅカ演出が散りばめられていて面白かったです。
プロローグで綺麗な衣装で競り上がってくるトップコンビもとい、知盛(市川團子)と若狭(中村壱太郎)。主題歌?を歌い上げ、デュエダン。
最初は平家滅亡のところなので、そのあとは殺陣。これぞ歌舞伎!という感じの殺陣をたくさん見せてくれる。女の人が小刀で戦うのもあって、カッコ良い。
でも知盛と若狭は離れ離れになっちゃって、知盛は行方不明。若狭は生きてると信じて待ってるけど…のところへ、知盛の忠臣たちが現れて生きてます!ってなって再会。
いつの間にか知盛と知り合っていた宋の軍人・楊乾竜(中村隼人)が「宋へ行こう、船は手配するぜ!」と言ってくれるんだけど、手配された軍船の漕ぎ手が「女は乗せられない」と言ったせいで、若狭は海に身を投げてしまう。知盛は悲しみに暮れるけど、それでも前を向いていくぜ!と宋の国に渡るんと、若狭にそっくりな紫蘭という姫と出会う(でもロマンスにはならない)。さらにそこで国同士の争いに巻き込まれ、色々あって宰相武完(下村青)を殺めてしまって、このいざこざを収束させるには俺が死ねばちょうどいい!全部俺のせいにしてくれ!って乾竜に俺を殺せって頼むんだけど、乾竜はできません!てなっ他ので、自ら剣を腹に刺して自害。
残された皆で、彼の志を後世に伝えるぞ(=平家物語)ってなってフィナーレへ。綺麗な鷺?の踊り手さんたちがスモークの炊かれる中で踊ってると綺麗になった知盛と若狭が競り上がってきて、デュエダン再び。
そのあとフィナーレ突入!で、最後は大羽根なみのお衣装ですっぽんから上がってきてそのまま宙乗りして終了!不死鳥になりました!という、トンチキストーリー(褒めてる)。
話はトンチキというか、おいおい!なんでだよ!が多いんですが、まあ日本人に馴染みのある分かりやす〜い話なのと、ビジュアル面で圧倒してくれるので、なるほど!細かいことは気にしないで楽しむぞ!ができる感じでした。
お目当ての隼人くんは、長身に中華風衣装がバッチリ映えて、殺陣の時は青いマントを翻し翻し…めちゃめちゃかっこいい!!!
お芝居としても、知盛に惚れ込んだとはいえ、ここまで連れてきた責任を感じて素直に謝ったり、本当にこの人寛大ないい人だわ、ていうのが散りばめられてた。宰相とばちばちするところも緊張感がすごくいい感じだったので、芝居の部分も見応えありました。
1日で色々覚えて真ん中をやり切った團子くんは、すごいの一言に尽きますね。
流石にセリフのプロンプもらってたところもあったし、セリフの間とかもおそらく猿之助の完コピ故に、間が変だな、とかちょっと伸びちゃってるな、というのはあったけど、宙乗りまで見事にやり切って、将来有望を印象付けたなぁ、という感じ。
多分相手役の壱太郎さんがうまく引っ張ってたのもあって成立させてた部分も大きいと思う。壱太郎さん、陰陽師の時も思ったけどめっちゃ芸達者。役としての雰囲気を若さと紫蘭でガラッと変えられるし、醸し出す色すらも変化させてくるから、見ていてとっても面白い。いろんな役を見たくなります。
若狭さんと対をなすように出てくる陽炎さんの市川笑也さんもお芝居がすっごく素敵だった。純粋に知盛は生きてるって信じて懸命に生きてる若狭とは違って、そう思いたいけど現実はそれじゃあ生きていけないよね、って落ちぶれてしまった身を嘆きつつ話てたのと、そのあと旦那が生きてるって分かってからの一連の芝居がとってもドラマティックでよかったです。
宰相武完は下村青さん、元劇団四季の方とのことで、めっちゃいいお声で歌いまくってました。でも行動、見た目全てがディズニーヴィランズ。もう本当に野心の塊!て感じ。でも色悪っぽくてカッコよかった!
そして明治座は初めて入った劇場でしたが、間口が歌舞伎座よりも狭いので、2階の端っこでも全然楽しめました。歌舞伎座3階ちょっと舞台が遠かったんだけど、明治座は新橋演舞場とかと同じで、2階でも楽しめそう。
上手側だったので宙乗りも横からじっくり見られて堪能できたのもよかった。花道もしっかり見えるから上手側はいいですね。
そんなこんなで、忘れられない観劇日の記録は以上。
来月以降もどうなるのか、そわそわしますね。