語りたいこと好きなだけ

歌劇(ヅカ.OSK)オタでジャニオタでアニオタの独り言。スタジオライフ、2.5次元も嗜みます。主観で好きなことを好きなだけ書いてます。

【OSK日本歌劇団】片翼の碧【観劇】

OSKを見るために、再度大阪へ出向いてきました。
なんか慣れてくると大阪そんなに遠く感じない・・・慣れって怖い・・・。


今回、贔屓のレオくんの出る新撰組がクールジャパンパークで公演、さらに気になる存在の登堂くん主演の片翼の碧が角座で公演期間延長してくれたおかげで、二つを同日に見ることができる!という奇跡の日程が生まれたので、もうこれは行くしか!!!!ということで今ひとたびの大阪行を決めた次第です。

f:id:kanatoNanase:20190408193342j:image
まずは、心斎橋角座の「片翼の碧」のほうから書かせていただきますね。
チケットをとっていただけたお友達には大感謝です。開演前におしゃべりもありがとうございました。
OSKのお話しができてめっちゃうれしかったです!


で、片翼の情報があまり実は伝わらないな、と勝手に思っていまして・・・チラシ裏の文言から察すると、青い翼の天使か堕天して、情熱的な女性と出会って色々交錯する、と。

f:id:kanatoNanase:20190408193402j:image
正直、それしかなくて、見た方の感想とかネタバレ探してもそれ以上の物に巡り合えてなくて、はて?と思いながらいざ劇場に向かってしまったんですが。正直それ以上のことはなかったんです。
と言っても、ネガティブな意味ではなく、この公演、とにかく決まっていることは多くないし、語られることも少ない。
もうとにかく演者の演じたエネルギーを受けて、観客がそれぞれ感じ取って楽しむ舞台。
とても繊細で、感情の色、とかそういう感覚的なもので表現していく作品なので、おそらくハッキリ決まったストーリーじゃないと無理、という方には向かない作品です。全部説明して、正解を教えてほしいタイプの人はストレスを感じてしまうと思う。
でも私はこういう作品大好物!想像力が刺激されて、とにかく美しい演者のエネルギーがまじりあって高まっていくのを見ているのはとても楽しい!
観終わった後に、同じ作品を観た人と小一時間語り合いたいほどでした。


ざっくりと私の感じたストーリー。
青い翼の天使、ブルー(登堂結斗)は独りぼっち。
同じ天使のアルヴム(雪妃詩)はそんなブルーを心配して近づいて、仲良くなろうとするも、アルヴムを憎からず思っている天使のニウェウス(朔矢しゅう)はその様子に嫉妬して、もみ合いの末にブルーの翼をもぎ取ってしまう。
片翼となったブルーは天界から下界へ落ちると、そこはスペイン。
自分かだれなのか、何者なのかを一切忘れてしまったブルーだったが、フラメンコダンサーのグラナーデ(羽那舞)に出会い、彼女のイキイキとした様子に惹かれて近づいていく、はじめは不審そうにしていたグラナーデも、初めて見る踊りに興味津々のブルーに徐々に寄り添いながら踊ることを通じてブルーに“色”を教えていく。
一報、ブルーを心配して下界に降りてきたアルブム、さらに彼女を追いかけ、もぎ取ってしまった青い片翼を手に、ブルーの近くをうろつくニウェウス。
そしてグラナーデも信奉者のカメラマン、シュヴァルツ(知颯かなで)。
それぞれの思いが色を成して渦巻いていく中、ブルーは一つ新しい世界へ踏み出す決意を固める・・・。


という、感じ。いやいくらでも拡大解釈あっていいはず。最低限、こんな感じ。


ブルーは実に純粋で、感受性が高くて、あと好奇心がすごく旺盛。天界にいたころは、すべてをあきらめたような瞳だったし、仕草もどこか投げやりだったけど、下界に堕ちて記憶を失った後は、彼の心を覆っていたいくつもの殻がすべてはがれてしまったみたいで、自身の心の動きに正直に反応するようになったのがわかったのがとてもよかった。まだ自分の心の動きを明確に言葉にできない彼だけど、グラナーデの見せてくれた色をもっと感じたいという純粋な気持ち故に、ラストは天界に戻らない、ここで生きる、そういう決断ができたのだと思います。


グラナーデちゃん、ダブルヒロインでしたが、人間で、とてもおおらかで、あたたかいひと。
そして良いお姉さまで聡い人。
ブルーを邪見にしたりせず、彼の心の動きをわずかながら感じとって寄り添って手を引いて。
素敵な人ですね、こういう女性になりたいものです。
本人も、無邪気な部分と大人な部分が入り混じった様子が、終演後の楽屋で踊りだすその様子から感じ取れて、私の心もわくわくしました。


アルヴムちゃんは、天界のとてもとても純粋なやさしさの塊。
ブルーに近づいたのは、彼を案じての事で、決してそこに恋愛感情というのでしょうか、何か過剰なものはなかったんだと思います。
単純に、笑わない彼を案じていた、こちらもやはり心の動きにとても敏感なんだと思います。
心配してわざわざ下界に降りてきてくれる、こちらもいいお姉さん、でもちょっと浅慮というか、世間知らずというか、純粋ですね。
それゆえ、トラブルのもとになってしまいましたね。


ニウェウス君は、こちらもとても無垢な天使。感情のふり幅、起伏なんかは登場キャラクターの中で一番わかりやすい。
子供の心と大人の鋭い思考が同居している感じ。
アルヴムちゃんへの感情は実にストレートに愛、好き。
それゆえ、彼女が寄り添う姿を見てブルーに嫉妬する。その感情を持て余して、自らがアルヴムにあげた花を投げ捨てるあの仕草が非常に狂気じみていて、純粋な子供故の残酷さとか、そういうものが突然顔を出したのでぞくっとしました。
その後、ブルーの羽根をもぎ取ってしまった事に対しても、事が起こってからその重大さに気づいて怯えたり、彼にどうにかして謝ろうと下界に降りてくるその姿がけなげで、でも彼に殴りかかるその姿が、本当にやるせないというか、己の中で相反する感情を持て余す彼の苦しさがひしひしと伝わってきて個人的には一番、心がきゅうと絞られるような共感を覚えました。昔こういう役やったからかな…笑


で、皆がダークホースというからどういう役なのかと思ったら、カメラマンのシュヴァルツさんは、“撮る”だけじゃなくて“獲る”ことも生業にしていたようでした。
美しいもの、希少なもの・・・というより、特異なエネルギー源が好きなのでしょうかね。
そしてそれを手に入れる事に対して、どんなことでもできてしまう、実はこの登場人物たちの中で一番リアリティがあり、現実世界の一番近い場所に存在する役だったと思います。
正直、カメラマンの彼と、最後短銃を構える彼は、もしかして別人なのでは?と思ったけれど、途中の会話なりなんなりを反芻すると、やはり彼は“獲る”事にこだわっているんだろうな、という解釈に落ち着きました。
ブルーを撃った後もアルヴムちゃんの頭を冷静に狙う姿にぞくぞくっとした。


そして今回“完全暗転が不可能”な角座をあえて利用するような形で、手持ちのランタンやペンライトで、光の演出を色々していたけど、これがとても詩的で、うつくしかった。
コロスも上記の役の人たちが出ない合間にしているので、皆ランタンをもって踊ったり、ペンライトをぐるぐる振り回したりと活躍でしたが、流れるようなダンスが皆さん本当に作品の世界観に溶け込んでいるようで、ああ、こういうのを観たかったんだ、と思わずため息がでるような、美しい空間を堪能することができました。


終演時には、不安なのかな、「この場面はこうなんです」と説明が入ったけど、全部、言わなくても伝わっていたよ、大丈夫。
不安になるかもしれないけど、意外と観客は気づきます。具体的な言葉にならなくても、感覚的なものだけでも、受け取ります。


私が演者をメインに活動していたころは、お客様の心を1ミリでもいいから動かすパフォーマンスを、と思っていたけれど、その神髄をみた気がしました。
私も、精進します!心が動くと、身体が軽くなって、なぜか多幸感が押し寄せてくるんです。
私だけかもしれないけれど、でも私と同じような感覚の人はいるかもしれないですからね。
なんだか、ブルーと同じで決断して踏み出していく勇気をもらえる、そんな公演です。
あと2回でしょうか、お時間都合のつく方は、ぜひ足をお運びください。
爽やかな気持ちで劇場を後にできますよ!